ドライマウス最新事情

お口の乾燥、唾液不足でお悩みの方へ

唾液が出ず、お口が乾く現代病、ドライマウス(口腔乾燥症)。
その症状でお悩みの方は、増加の一途をたどっていますが、
ドライマウスに対する研究は、近年、始められたばかりです。
ここではドライマウスに関する様々な情報を、ご紹介致します。

日常生活における注意点

ドライマウス、口腔乾燥の方が、日常生活で気をつけるべきなのは、お口に刺激を与えないようにすることです。
アルコールや香辛料などは刺激となり、口腔乾燥を進めてしまいます。
また、合わない義歯や、歯の治療物なども、粘膜に対して刺激を与えます。
口腔粘膜とぶつかって、痛みを感じたり、炎症を起こすようなものがお口の中にあれば、それはすぐにでも除去するほうが、賢明です。

刺激は、乾燥を進行させる要因に

乾燥によって、デリケートな状態になっているお口の粘膜には、アルコールや香辛料などは、刺激が強すぎます。
ドライマウスが進行している方だと、口に入れただけで、痛みが伴うことさえあります。
アルコールや香辛料に限らず、刺激が強い食品は、避けるようにして下さい。
また、お口の粘膜に付着しやすい食品も、避けたほうがよいと思われます。
粘膜に付着すること自体が刺激になりますし、付着した食品を無理に取ろうとして、粘膜を傷つけてしまうことがあります。
ドライマウスの方は、唾液による殺菌効果が期待できない為、歯周病や虫歯になりやすいです。
そのため、歯磨きやうがいなどで、細菌を繁殖させないようにすることが大切ですが、アルコール入りのマウスウォッシュやデンタルリンス等は、刺激が強すぎるので、使用しないで下さい。
また、舌ブラシなどで舌をこする行為は、舌の表面組織を痛めて、乾燥を促進させます。
乾燥した皮膚を掻きむしるようなもので、炎症を起こすおそれがあるので、くれぐれも、行わないようにして下さい。
歯磨き粉も、歯磨き終了後に、お口の乾燥が気になるようでしたら、刺激の弱いものに替えるほうがよいでしょう。
ドライマウス専用の、刺激の少ない歯磨き剤や、ヒアルロン酸配合で保湿効果のある洗口剤等が各社から開発されていますので、乾燥症状が気になる方は、どうぞお気軽に、医院へお問い合わせ下さい。

合わない義歯や補綴物による刺激

入れ歯、歯の治療物、歯そのものの縁などが、口腔粘膜にぶつかり、痛みや違和感を感じるような場合には、その原因となるものを除去・調整して、刺激を与えないようにすることが大切です。
唾液が十分なお口でも、歯や義歯の鋭縁などが粘膜表面を刺激すると、潰瘍性口内炎(いわゆる褥瘡性潰瘍)ができることがあります。
口腔乾燥の方は、粘膜が刺激に弱くなっており、唾液中のムチン(糖蛋白質)やPRP、スタセリン等による、摩擦や磨耗を防ぐ潤滑作用や保護作用が十分に機能しないため、より炎症が起こりやすい状態にあります。
また、唾液の不足により、表面張力が作用しなくなると、義歯がとても不安定な状態になります。義歯と粘膜の間に唾液の薄い膜があると、それだけ義歯の維持が良くなると言われていますが、唾液不足では、その効果が望めません。
合わない義歯では、よりお口を傷つけることになってしまいます。
お口の中にある、粘膜を刺激するもの、痛みや違和感を感じるものは、早めに取り除くようにして下さい。
口腔乾燥の著しい方が歯科治療を受ける際には、含嗽剤などを用いて粘膜を浸潤させる、粘膜を刺激しないように治療を行うなど、ドライマウスに対する配慮のある医院で行うことを、お勧め致します。

乾燥した食品を食べる場合の注意

アルコールや香辛料のように、直接粘膜に強い刺激を与えるものではありませんが、乾燥性の食品を食べる場合にも、注意が必要です。
砂漠が水を吸収するように、乾燥した食物が、口腔内の唾液を吸い取ってしまうからです。
ドライマウスの方は、食べ物全般に対して、咀嚼(そしゃく:噛むこと)、嚥下(えんげ:飲み込むこと)が困難な傾向にあるのですが、ビスケットやクラッカー、おせんべい等の乾燥性食品は、特に食べにくいことと思います。
その様な食品はなるべく避けるべきですが、どうしてもという場合には、十分に水分を取りながら食べるようにして下さい。
ただし、食後に乾燥がひどく感じられる場合には、止めるようにして下さい。
また、ビスケットのようなものなら、ミルクティー等に浸して食べる、パンならバターを塗ったり、フレンチトーストにするなどして、工夫を加えて食べるのも良いでしょう。
口腔乾燥がひどい場合には、なるべく水分の多い食品や、飲み込みやすいようにとろみのついた食品がお勧めです。
熱すぎるものや、冷たすぎるものは、刺激となる場合もあるので、ご注意下さい。
お口の乾燥の程度は、人によってさまざまです。また、その原因も、人によって異なります。
ご自身のお口の状態に合わせて、少しでも口腔乾燥が緩和するような生活を、お過ごし下さい。
次号も、口腔乾燥と日常生活について、お届け致します。

※お口の乾燥がひどくて、我慢できない場合には、専門医にご相談下さい。

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