お口に潜む水銀化合物・アマルガムの危険性
アマルガムは、水銀50%の歯科用材料です。
お口の中に、アマルガムはありませんか?

アマルガムとは「歯科用水銀アマルガム」の略で、主に虫歯治療のため、歯に充填される歯科治療材料です。
アマルガムは健康保険の適用材料として認定されており、一般的に使用されてきました。
以前に、奥歯の虫歯を治療したことがあり、その部位に銀色の詰め物がある場合、それは、ほぼ間違いなくアマルガムだといえるでしょう。
そのように、広く普及していたアマルガムですが、70年代をピークに、近年では使用量は減少しています。
現在でも保険が適応するので、医院によっては使用される場合もあるようですが、アマルガムの安全性を疑問視する声もあがっています。

アマルガムには高濃度の水銀が含まれています。

アマルガムは、銀・スズ・銅・亜鉛、水銀などが含まれる合金です。水銀が高濃度に含まれています。
アマルガムはお口の中で劣化し、腐食しやすい傾向があるため、人体に影響を及ぼすおそれがあります。
アマルガムが腐食するのは、唾液が電解液として作用するからで、その他には、果物・野菜・コーヒー・お茶などの酸も、化学反応を引き起こす要因となります。また、アマルガムは物を噛む際など摩擦が生じた時に、その熱で水銀を含んだ蒸気を発生するともいわれます。
その結果として、水銀の粒子や水銀の蒸気が体内に流出し、自覚のないままに吸収され、腎臓、肝臓、脳などに蓄積される可能性があります。

水銀の有害性。さまざまな症状と、胎児への影響

水銀の有害性は広く知られていますが、お口の中の水銀化合物は、全身の健康にどのような悪影響を及ぼすのでしょうか?
まず、口腔内の他の歯科材料による金属アレルギーと同じように、イオン化した水銀化合物が体内に入り、蛋白質と結合すると、それによって過剰反応が引き起こされることになります。
アトピーのような皮膚の炎症や、手のひらや足の裏などに掌蹠膿疱症という水泡状の湿疹が繰り返しあらわれたりします。
それから、蒸発した水銀の蒸気を吸い込むと、すぐに組織の中に吸収されて細胞膜を通って拡散してしまいます。水銀は、人体に有害な物質の中でも神経毒性の強い物質です。全身にあらわれるさまざまな不快な症状――感覚異常・不眠・神経的なイライラ・頭痛・めまい・アレルギー・原因不明の痛み等――は、もしかしたらお口の中のアマルガムのせいなのかもしれません。
実際、アマルガムを除去することで症状が改善されるケースも、少なくありません。
また、子供を希望する女性や妊産婦の方にとっては、アマルガムはさらなる危険を秘めているといえます。
水銀のために妊娠しにくくなるという報告があるうえに、水銀が胎児や母乳にまで届く怖れがあるというのです。
事実、1998年4月、イギリス厚生省は妊婦にアマルガムの詰め物をしないように警告を発しました。医療先進国のスウェーデンでも、1987年に政府が同様の発表をしています。

広がるアマルガム撤廃の動き。規制と訴訟

アメリカでも、アマルガムを規制する流れは起きています。
コロラド州ではアマルガム充填の制限が法制化されていますし、メーン州、アリゾナ州では、歯科医師が水銀の潜在リスクに関する詳しい情報を患者に提供することが義務化されました。カリフォルニア州では、アマルガムを危惧する消費者団体などから複数の訴訟が起きています。昨年11月には、カリフォルニア州知事が水銀を使用した体温計などの、水銀撤廃の法制化に向けて法案が提出しました。
日本でも近年、「歯科用水銀アマルガムに関する質問主意書」が国会に提出されています。
それに対する厚生労働省の答弁書によると、現時点では、アマルガム充填とアトピー性皮膚炎との間に因果関係があるかどうかは明らかではないこと、アマルガムは歯科素材としての有効性が認められており、歯科医師が個々の患者の特性を十分考慮しながら使用するものであるから、現段階では使用を禁止することは考えていないが、今後とも、情報収集など適切な医療の提供の推進に努める旨などが、述べられています。

アマルガムの賛否両論

アマルガムの歴史は古く、かつては、ほとんどの歯科医院で一般的に使用されていました。
今でも、医院によっては使用される場合もありますし、歯科医師によっては、従来同様、有用で害のない材料だという立場をとられる方もいます。
手軽で使いやすい材料ではありますし、また、水銀が神経に作用するため、痛みを吸収してくれる役割があることも確かです。昔、傷薬としてよく使われていた、いわゆる「赤チン」も、痛みを抑えるために水銀が含まれていましたが、水銀の害を懸念して現在では使用されることはありません。歯科でのアマルガム使用の減少も、ちょうど同じ時期にあたります。
昔の日本の歯科医療では、痛くなってから歯科医院へ行き、悪い部分を削る、または抜くのが主流でした。そのような時代には、安価で痛みを抑えるアマルガムは適した材料であったことでしょう。しかし、そのような処置方法を続けることは、お口の健康にとっても望ましいものではありません。削って抜くことの繰り返しでは、自身の歯を失うことになってしまうからです。
現在では、厚生省の展開する8020運動(80歳で20本の歯を保つ)に代表されるように、いかに健康な歯を長く保てるかが、重要になっています。
しかし、自身の歯を保つためにも、アマルガムは適した材料とはいえません。

アマルガムと二次カリエス(虫歯の再発)

アマルガムは固まりやすく溶けやすい材料です。そのため、処置が手軽にできるという利点があります。
ただそれは、お口の中においては欠点にかわります。熱いお茶などを飲むと溶けてしまうため、どんなに上手に処置しても、辺縁から形が変わってしまうからです。
そして、そのようにして出来た隙間から、せっかく治療した虫歯が再発してしまう率が高いのです。これを二次カリエスと言います。しかも、実際には二次カリエスになっているにも関わらず、水銀が痛みを抑えてしまうため、本人が気がつかないことが多いのです。痛いと思った時には、かなり虫歯が進行していて、残念ながら歯を抜かざるを得ないことが、多々あります。

アマルガムと歯の変色

またアマルガムは、お口の美しさ、審美的な側面から見ても、問題がある材料です。
アマルガムを詰めた部位が、黒ずんだ銀色で目立つのはもちろんですが、歯や歯茎の色まで変色させる場合があるのです。
アマルガムの成分が溶け出して、歯髄、歯面から組織に着色因子が取り込まれて起こるもので、このような場合は、著しく黒ずんでいるのが特徴です。

アマルガムに代わる材料

水銀、金属アレルギー、二次カリエス、歯と歯茎の変色など、ざまざまな問題を抱えるアマルガムですが、最近では、それに代わる様々な新しい材料が開発され、使用されています。
これからアマルガムを使用しないことはもちろん、現在お口の中にアマルガムがあるならば、それを除去し、より安全な材料に代えることをお勧めいたします。

アマルガムへの対応

当医院ではまず、問診、各種口腔内検査・診査を行い、口腔内のアマルガム充填物の有無と、過去の治療部位に、2次カリエス等の歯科疾患が存在するかどうかを、確認致します。
その後、診療方針を確認した上で、必要に応じた検査・治療を行います。

・歯科金属アレルギー・アマルガムについて、詳しくはこちらもご参照下さい。

 

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